今回は、ブラウニー手帳を実際にご覧いただける数少ない店舗さまのひとつ、和気文具さまへお邪魔させていただきました。大阪府野田駅が最寄りの『新橋筋商店街』のなかにお店を構えられた、1926年創業の文房具店さんです。本日は店内のレイアウトや企画をご担当されている岸井さんにお話をうかがわせていただきました。
お話をうかがった岸井さん。
（手帳部）ー和気文具さんは創業からずっとこちらでお店をされているのでしょうか？
（岸井さん）創業当初は北浜のあたりに会社がありました。そのあとしばらくしてから野田に移って、現在の“商店街にある文具屋”に至っています。昨年、お隣の果物屋さんがお店をたたまれるということでスペースを譲り受けたので、今年の2月から店内のスペースを拡大しました。２階にあった手帳売り場と一緒に新しくカフェスペースを設けています。
ーカフェスペース、ゆったりできる素敵な空間ですね。
文房具好きな方に、店内でゆっくりと商品を試して欲しいなという思いがあったので、ここのスペースをあらたに用意しました。1ドリンクを頼んでいただければ、ご自由にご利用いただけます。文房具の雑誌を読みに来てくださる方も多いですね。あと、商店街でお買い物されたおばあちゃんが、おいしい匂いのする袋を提げて休憩に来られたりもします（笑）。
今年2月にできたカフェスペース。ゆっくり文房具を試すことができます。
ーカフェスペースのそばでブラウニー手帳を発見しました。
2021年度のブラウニー手帳はパッケージのデザインがガラっと変わりましたよね。カバーの色も鮮やかで。先日もレギュラーのひよりミントを女性が買っていかれましたよ。
ーご購入いただいた方、ありがとうございます！ちなみに、こういった陳列なども岸井さんがご担当されているのでしょうか。
店内の商品整理やレイアウトなどは一式ひとりで担当しています。今までこういった仕事をしてきたわけではないので、他の社員からアドバイスをもらいつつ自分で考えながらお店をつくっています。オリジナルノートの製本をしたり、ラッピングしたり、時々バリスタになったり（笑）。他の社員も、デザイナーもするし商品撮影もする、バイヤーも商品開発もする…という感じで一人ひとりがなんでもやる、そんな会社ですね。
ー和気文具さんには何名ほどのスタッフの方がいらっしゃるのでしょうか？
社員は10名くらいですね。基本的にはオンラインショップがメインなので、受注やお客様対応、WEB制作やSNS、商品開発、バイヤー、物流などを社員が担当して、梱包や発送はパートさんにもご協力いただきながらやっています。人数が少ないので、それぞれが何かをかけ持ちしながら毎日過ごしています。
ー10名ですべての業務を担当されている…まさに少数精鋭ですね。お客さまはどういった方が多いでしょうか。
自転車では来られない距離のお客さまも多いですね。近隣のお客様が全体の3割で、あとの7割くらいはネットでお店の存在を知ってくださった方。北海道から沖縄まで、全国からご来店くださっていてほんとうにありがたいです。今はコロナウイルスの影響でなかなかご来店が難しいかと思いますが、台湾などの海外からもお越しくださっていましたよ。
ー和気文具さんは、オリジナル商品の開発や独自の取り組みをたくさんされていますね。
そうですね。たとえば、お好きな中紙と表紙を選んでいただくとオリジナルのノートをつくることができます。そのほかにもお客さまオリジナルのスタンプを作ることもできます。個人用はもちろん、お店のロゴやハンドメイド作家さんが作られた手書きのものなど、それぞれの使い方で楽しんでいただいています。
オリジナルノート用に選べる紙がずらり。
オリジナルスタンプもつくれます。
ー万年筆などの試し書きもできますね。
万年筆はとくに見ているだけでは違いがわからないので、書いていただくのが一番かなと。すべての商品を試し書きできるわけではないのですが、できるだけたくさんの商品を用意しています。サンプル用紙や店内にある手帳の紙面でお試しいただけます。
気になる万年筆を手に取れる「試し書きコーナー」。
もうひとつは手帳への試し書きです。手帳好きの方は、書き心地の良さや裏抜けがないかなど、紙に対するこだわりをお持ちですよね。せっかく購入した手帳が合わなかったので、使うのが嫌になってしまった…という方もいます。検討している手帳が自分好みのものかどうか、紙や手帳の開き具合などを実際に見て試していただけるようにしています。
それと、店舗が広がったことで、「体験」に重きを置くようになりました。商品の近くでスタッフが実際に文房具を使っている動画を流すことで、使い方のイメージを体験できるようにしています。WEBなどでいいなと思った商品は、店頭に来て試していただくこともできますし、動画をとおして「こうやって使うんだ」というイメージを膨らませていただけるかと思います。
オリジナル商品の『手帳テンプレート』。横には使い方をチェックできるモニターが。
ー商品を気兼ねなく試したり、使い方のイメージを事前に知れるのは、文房具がお好きな方にとってとても大事なことです。
和気文具のコンセプトとして、「JOIN US STATIONERY HOLIC」ということばを掲げています。この「みんなで文房具にはまっちゃおう」という言葉が、会社のいちばんの指針なんです。それに基づいて商品企画やお店づくりをしています。社員みんなが同じきもちを持ちながら、団結して一生懸命頑張っています。
ー今後さらに、やってみたいということはありますか？
実をいうと、わたしのなかではお店自体の出来はまだ30％くらいなんです。まだできていないことがたくさんあるというか。もっとお客さまが商品を見つけやすい売り場にしたいなと。お客さまのなかには「宝探ししてるみたい」って言ってくださる方もいらっしゃるんですけど…。いまはまだお店に自信がないので、迷われてないかな、この商品のことわかりづらいかな、と感じたら、すぐ声をかけちゃうんです（笑）。だからこそ、お客さまとの距離が近いのかもしれませんが。今よりもっとサンプルを増やして、お客さまが商品を試して、納得して買っていただけるお店づくりをしていきたいですね。
あと、体験型のイベントは今後開催していきたいなと思っています。以前文房具好きの中学生が来店してくれたときに、インクを自分でつくるキットをすすめてみたんです。「一緒にやってみる？」って。それで、ペンだけ買っていただいて一緒にやってみるとすごく楽しかったんです。その子もとても喜んでくれて。いまはワークショップなどのイベントを開くのは難しい状況ではあるのですが、お店のなかで、“JOIN US STATIONERY HOLIC”していただける取り組みをやっていけたらなと思っています。
とても優しくご丁寧にお話をしてくださった岸井さん、お忙しいなか本当にありがとうございました。商店街のゆったりとした空気感のなかにたたずむ和気文具さま、たくさんの方に足を運んでいただきたい素敵なお店です。感染対策に気をつけつつ、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
和気文具
〒553-0006大阪府大阪市福島区吉野2-10-24
TEL.06-6448-0178（代表） FAX.06-6448-0162
URL：https://www.wakibungu.com
この記事を書いたひと
